GRADEシステムの迅速作成かつ随時更新するRapid/living recommendationを前提としており、COVID-19流行が収束するまで最新の知見に基づき随時更新予定。
今回は、厚生労働省が推奨薬に追加したファビピラビルを含む5剤について、クリニカルクエスチョン(CQ)と推奨文などが初めて示された。
推奨の適用は軽症〜重症の全患者
対象は成人のCOVID-19患者で、
自宅、ホテルなどの医療機関外で療養加療中の軽症患者、
酸素投与または入院加療を要する中等症患者、
集中治療管理を要する重症患者
2020年7月31日時点のエビデンスに基づいて、薬物療法の確実性や推奨の強さを決定するGRADEシステムを使用
CQ1. COVID-19患者にファビピラビルを投与するか?
ファビピラビル(商品名アビガン):
中等〜重症には推奨提示せず「現時点では推奨を提示しない」
CQ2. COVID-19患者にレムデシビルを投与するか?
レムデシビル(商品名ベクルリー)
軽症には推奨提示せず、中等〜重症には投与を「弱く推奨」
中等症患者および重症患者における同薬のランダム化比較試験(RCT)2報によると、14 日全死亡は1,000人当たり30人の減少、28 日全死亡は12人増加し絶対効果に一貫性がなかった。しかし、有害事象発現を増大させることなく臨床症状の改善が見込まれた。
CQ3. COVID-19患者にヒドロキシクロロキンを投与するか?
ヒドロキシクロロキン〔商品名プラケニル)
重症度に関わらず全ての患者に「投与しないことを強く推奨」
CQ4. COVID-19患者にステロイドを投与するか?
デキサメタゾン:
軽症患者には「投与しないことを強く推奨」、
中等〜重症には「投与を強く推奨」
但し、現時点では COVID-19患者に最適なステロイドの種類、投与量に関して薬剤同士を直接比較した研究は存在しない。
ステロイドには免疫応答を緩和する作用が期待されている
CQ5. COVID-19患者にトシリズマブを投与するか?
トシリズマブ(商品名アクテムラ)
「現時点では推奨を提示しない」
【感染症の最新記事】